再会は魔法のような時を刻む~イケメンドクターの溺愛診察~【リニューアル版】
数分間――
瑞先生は、そんな私を黙って泣かせてくれた。


「……瑞先生、ごめんなさい。忙しいのに私の話に付き合ってくれて……ありがとう」


『……小川先生。君の思い、俺にもわかるから。総合病院を継ぐこと、その大変さは計り知れない。たくさんの患者の命を預かる責任感、信頼を得るための努力、医者や看護師を守るための経営手腕も必要だ。その全てを完璧にすることは、とても難しいことだ』


「ええ。私、それを城田先生に求めすぎたのかしら……だとしたら……プレッシャーになるわよね。でも、私、それでもやっぱり小川総合病院を守りたい」


『そうだな。だとしたら、君が院長になって小川総合病院を継げばいい。君の優秀さを俺は良く知ってる。小川先生ならきっと大丈夫だ』


その時、目の前の霧が一瞬にして晴れた気がした。


そうだ――
私自身が「院長」として小川総合病院を継げばいいんだ。


「瑞先生、ありがとう。そうね、私ならできるわよね。男なんかに負けてたまるもんですか」


『さすが小川先生だな。その気持ちを忘れずに……たくさんの患者と真摯に向き合って、その命を守れる小川総合病院にしてもらいたい。恩のある小川総合病院の発展を、俺も心から願ってる』


「瑞先生……ええ、きっと立派に守ってみせる。絶対に、守り抜くわ」
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