再会は魔法のような時を刻む~イケメンドクターの溺愛診察~【リニューアル版】
花は、基本、匂いのキツ過ぎない物を選び、患者さんが集まる場所からは少し離れたところに置いている。


私と賢人君は、バランスを考えながら花瓶に心を込めて差していった。病院にいる人達に、これを見てつらいことを一瞬でも忘れて喜んでもらえたら……
そんな思いを胸に抱き、私達は癒しの空間を作り上げていった。
私は、この、仕事のやり甲斐をしっかり感じられる瞬間がたまらなく好きだった。


受付近くの作業を終え、まだ患者さんが残る1階を避け、先に2階に行くことにした。


外科近くの花瓶に花を差していると、


「いつもありがとう」


と、坂井先生が声をかけてくれた。
腕が良いと評判の、人気の外科の先生だ。


「こちらこそいつもありがとうございます」


私は笑顔で頭を下げた。
先生も、にこやかな感じでその場を離れた。
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