再会は魔法のような時を刻む~イケメンドクターの溺愛診察~【リニューアル版】
そう吐き捨て、怒りの表情を浮かべながら、彼女のことを無理やり引っ張っていった。
若い彼女は振り向きながら、笑顔でこちらに手を振っている。
それは、間違いなく「瑞」に対するアプローチだ。
この状況で、どうして笑顔で手を振れるのか……私にはその気持ちが理解できない。


「愛莉、大丈夫か?」


「う、うん、大丈夫だよ。瑞……ごめんね、ありがとう。あの人はあんまり関わりたくない友人だったの。だから、あんな風に言ってもらって良かった。本当、助かったよ」


「あ、ああ」


「ね、ねぇ、瑞。私、早く温かいお風呂に入りたいよ」


「……そうだな。早く行こう」


私達は、温泉施設に着くまで何も会話を交わさなかった。
瑞は、何かを察してるのかも知れない。
だけど……
もう、あの人のことには何も触れたくなかった。


「じゃあ、また後で。ゆっくりお湯に浸かって温まってきて。慌てなくていいから」


「うん……ありがとう。瑞も、ゆっくりしてね」
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