青空@Archive
 我ながらバカなことを言ったものだ。ワンテンポ遅れて、ボクはそう思った。
 面白そうだからと、二つ返事で『行く!』と言ったまではいいが……そもそもこの(もの凄く)怪しい人物は誰なんだろう?
 怪しい人と書いて“怪人”だ。
 『怪しい人について行っちゃいけません』なんてのは、昔から使われ続けてきた常套句。つまりは、それだけ危険に対しての信憑性があるってことなのだから。
 ……多分、ついて行った人はロクなことがなかったんだろう。ご愁傷様。
 このままなら、それはそっくりそのままボクに当てはまるのかも知れないが。
「そこで確認だけど、あんた一体何者?」
 一応おじいちゃんの知り合いのようだが、しょっちゅう暇つぶしがてらに遊びに来ていたボクは、今まで一度もこの顔を見たことは無いし、おじいちゃんに若い人が訪ねてきたことも、まあ無いのだから。
 だから疑いますって話も唐突すぎてどうかとは思うけど、疑わないよりはいいだろう。
 おじいちゃんに秘密の隠し子がいたって聞いたところで、あの自由奔放な人ならば……と納得しかねないような人間なのだから、交友関係は広そうだ。
 ただ一点。何か……何かが引っかかってるんだよな。
 何だ……?
< 6 / 66 >

この作品をシェア

pagetop