青空@Archive



……ははっ!くだらねー。

くだらねーくだらねー。


僕の好奇心は、あくまで自分の信じる基準に則って、だ。

僕は神話に興味はあっても神なんて信じねーし、この目で見なけりゃ幽霊や宇宙人すらツチノコと同レベル。


百聞は一見に如かず。


まあ、本の世界ってやつは、実際見ちったんだから信じる他ないんだけど。



藍は煙草を取り出してくわえると、火をつけながらボリボリと癖だらけの頭を掻いた。

「っかしーなぁ。ハートの女王が元凶だと読んだから、色々と手回ししてて遅れたってのに、当の本人が何も知らないたぁどうなってる……」


「アリス!」

「チェシャ?」


弾けたように現れたチェシャ猫は、見たこともない程うろたえて叫んでいた。

アリスにしてもチェシャ猫の狼狽ぶりは予想外だったらしく、驚いた顔で見つめている。


「アリス……」


チェシャ猫はもう一度アリスを呼ぶと、何かを諦めたような顔で呟いた。



「“世界”が消える―――」
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