「お飾りの役立たずは不要だ」とクズ皇太子に婚約破棄された大聖母、隣国の王子に(契約)結婚しようとスカウトされる~あなたが本当に愛する人と幸せになるよう大聖母から悪女にポジションチェンジしますわ~
 東屋のバラのアーチが見えてきた頃、人の声がきこえてきた。

 先客がいるらしい。

 東屋にいるのがだれであれ、関わり合いになるのは面倒。だから、回れ右をして去ろうとした。

「チャーリー、どれだけ待たせれば気がすむの?」

 そのとき、甲高いレディの声がきこえてきた。

 東屋の方からである。

「イザベル、おれを困らせないでくれ」

 そして、きれいな男性の声も。

 心臓が飛び跳ねた。いつもとは違う理由で。

 男性の声は、間違いなくチャーリーのもの。

< 102 / 227 >

この作品をシェア

pagetop