「お飾りの役立たずは不要だ」とクズ皇太子に婚約破棄された大聖母、隣国の王子に(契約)結婚しようとスカウトされる~あなたが本当に愛する人と幸せになるよう大聖母から悪女にポジションチェンジしますわ~
 ジャニスとカイラがいらないことを言うものだから、おもわず苦笑してしまった。

 チャーリーとロビンも笑っている。

 すこしだけ緊張していたみたい。

 二人が冗談を言ってくれたお蔭で、って冗談よね? とにかく気持ちが少しだけラクになった。

「ラン、何度も言うよ。きみは美しい。見た目だけでなく、内側も。おれの自慢の妻だ」

 チャーリーの真剣なまなざしに、胸の辺りが痛んだ。

『おれの自慢の妻だ』

 この言葉は、わたしではなくあのバラ園の東屋で見たレディに送られるものである。

 契約妻、かりそめの妻であるわたしにではなく。
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