「お飾りの役立たずは不要だ」とクズ皇太子に婚約破棄された大聖母、隣国の王子に(契約)結婚しようとスカウトされる~あなたが本当に愛する人と幸せになるよう大聖母から悪女にポジションチェンジしますわ~
 わかっている。そうとわかってはいるけれど、わたしに送られた言葉だったらよかったのに。そう思わずにはいられない。

「バカね、チャーリー。そんな言葉は、ふさわしい人に言わなきゃ」

 出来るだけ笑顔にしつつアドバイスしたけれど、ちゃんと笑顔になっていたかどうかはわからない。というか、自信がない。

「さあ、行きましょう。大恥をかかされにね」
「……。ああ、そうだね」

 肩を並べると、チャーリーが自然な動作で腕を差し出してきた。その腕に自分のそれを絡める。

 そのタイミングで大扉が開いた。

 いよいよである。

 気合いを入れ直し、一歩踏み出した。

 チャーリーとともに。 
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