「お飾りの役立たずは不要だ」とクズ皇太子に婚約破棄された大聖母、隣国の王子に(契約)結婚しようとスカウトされる~あなたが本当に愛する人と幸せになるよう大聖母から悪女にポジションチェンジしますわ~
(全然似ていないじゃない。というか、彼女って辺境の出身なわけ?)

 度肝を抜かされた思いである。

「ラン、ほんとうにありがとう。兄から急使が来たの。『おまえからもくれぐれも礼を言ってくれ』、と。そして、『ランをわが娘のように大切にするように』、とも。兄に言われたからではないけれど、わたしはそのようにしたいと思っています。ラン、これから仲良くしてね」

 困惑しているわたしなどお構いなしに、彼女はわたしの両手をつかんで上下にブンブンふりまわした。

「は、はい、王妃殿下。ふつつか者ですが、こちらこそよろしくお願いします」

 この場で伝えるべき当たり前の言葉を返すしかなかった。
< 166 / 227 >

この作品をシェア

pagetop