「お飾りの役立たずは不要だ」とクズ皇太子に婚約破棄された大聖母、隣国の王子に(契約)結婚しようとスカウトされる~あなたが本当に愛する人と幸せになるよう大聖母から悪女にポジションチェンジしますわ~
「ラン?」
「ええ、殿下。おそらく、というよりかぜったいに父ですわ」

 チャーリーが王太子になってから、二人きりのとき以外は「王太子殿下」か「殿下」と呼ぶようにしている。

「追い返してくださいって言いたいところですが、わたしが直接言います。殿下、よろしいでしょうか?」
「もちろん。だけど、いいのかい? 義父(ちち)上は、助けを求めに来たのではないかい?」
「どうでしょうか?」

 おそらく、チャーリーの言う通りだと思う。だけど、それに応じるほどわたしはお人好しではない。だいたい、いまは悪女だし。自称、だけれども。
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