「お飾りの役立たずは不要だ」とクズ皇太子に婚約破棄された大聖母、隣国の王子に(契約)結婚しようとスカウトされる~あなたが本当に愛する人と幸せになるよう大聖母から悪女にポジションチェンジしますわ~
 その執念はすごいと思う。そして、才覚も取り柄もないお父様が、その執念でここまでやって来れたのは奇蹟に近い。褒めてあげたいくらい。だけど、わが身を犠牲にして二人を助け出すならまだしも、勘当した実の娘を生贄に差し出そうだなんてよく考えついたものだと逆に感心してしまう。

「お父様、いえ、ウインザー公爵。くそくらえ、です」

 きっぱりすっきりはっきりそう告げた。

 マナーの先生であるセルマがきいたら、きっと眉を顰めるに違いない。

「な、なんだと?」

 お父様は自分の耳を疑っているみたいだけど、チャーリーや護衛の近衛隊の隊員たちはプッとふきだした。
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