「お飾りの役立たずは不要だ」とクズ皇太子に婚約破棄された大聖母、隣国の王子に(契約)結婚しようとスカウトされる~あなたが本当に愛する人と幸せになるよう大聖母から悪女にポジションチェンジしますわ~
 長椅子からそっと立ち上がった。さりげなく執務室の外に出ようとすると、同じ考えらしいチェスターもじりじりとうしろに下がりつつある。

「待て、待ってくれ。二人ともいてくれ。おれを一人にしないでくれ」

 チャーリーに気づかれてしまった。

 チェスターもわたしもその場に固まってしまう。

「なんですって?」

 驚きの声とともに、チャーリーの愛する人がこちらを振り返った。

「やだ。気がつかなかったわ」

 そして、わたしを見て言った。

 いえ。いくら小柄でも見えないほどではないのですが。そんなわたしに気がつかないってどういうこと?
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