「お飾りの役立たずは不要だ」とクズ皇太子に婚約破棄された大聖母、隣国の王子に(契約)結婚しようとスカウトされる~あなたが本当に愛する人と幸せになるよう大聖母から悪女にポジションチェンジしますわ~
「これ、やはりきみのだったんだ。人の気配がしたから行ってみると、これが落ちていてね。このローズティーは、庭師のお手製だ。もしかして、きみが落としたのかなと。だが、いつのタイミングで落としたのかわからないし、そもそもきみが落としたのかどうかも確信がもてなかった。近いうちに尋ねてみようと抽斗に入れておいたんだが……。すっかり忘れてしまっていたよ。そうか、あのときだったのか」

 手渡された小さな袋に入っているティーバッグは、たしかにローズティー。

 あのとき、落としてしまったのだ。庭師のおじいさんからもらったことじたい、すっかり忘れていた。
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