「お飾りの役立たずは不要だ」とクズ皇太子に婚約破棄された大聖母、隣国の王子に(契約)結婚しようとスカウトされる~あなたが本当に愛する人と幸せになるよう大聖母から悪女にポジションチェンジしますわ~
「あの東屋でのことは、執務室で行われたこととまったく同じさ。それに、きみも体験しただろう? あれは抱き合っていたんじゃない。ハグで殺されかけていたんだよ」

 いまならわかる。イザベルのあの殺人ハグは、ほんとうに死んでしまいそうになる。

「ええ、それはいまではもう理解しているわ。だけど、わたしたちってそのわりには一度もそういう雰囲気にならなかったわよね?」

 遠まわしに尋ねてみた。ストレートだと、マナーの先生であるセルマが卒倒しそうなほどはしたない言葉になりそうだから。
< 214 / 227 >

この作品をシェア

pagetop