「お飾りの役立たずは不要だ」とクズ皇太子に婚約破棄された大聖母、隣国の王子に(契約)結婚しようとスカウトされる~あなたが本当に愛する人と幸せになるよう大聖母から悪女にポジションチェンジしますわ~
「大聖母」を目指す者として、清らかな身であらねばならなかった。当然、婚約者以外の男性に興味を持つとか、ましてや恋愛感情をもってはいけない。

 もっとも、わたしは婚約者に対してもどちらもまったく持たなかったけれど。

 禁欲、とまではいかなくても、とにかく男性に縁遠かったわたしなのに、なぜかその青年の微笑みに胸を射抜かれた。

 そう。まさしく矢で射抜かれた。

 とはいえ、それも一瞬のこと。

 そのまま歩き続けた。
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