「お飾りの役立たずは不要だ」とクズ皇太子に婚約破棄された大聖母、隣国の王子に(契約)結婚しようとスカウトされる~あなたが本当に愛する人と幸せになるよう大聖母から悪女にポジションチェンジしますわ~
 王宮への帰路もきたときと同じで馬車である。とはいえ、街馬車をつかまえ銅貨を渡して乗せてもらっている。

 王子と王子妃のお忍びだから、というわけではない。

 第五王子とその王子妃がどこかにでかけるからといって、わざわざおおげさに送り迎えしてくれないというわけ。

 というよりか、わたしたちは他の王子や王子妃たちとは違う。

「どうでもいい存在」というのかしら。

 だから、護衛に騎士や近衛隊や親衛隊がくっついてくることもない。

 まぁその方がずっと気楽だから、わたしとしてはいいのだけれど。

 しかし、チャーリーのことが気の毒でならない。

 同じ王子なのに扱いがぞんざいすぎるのではないかしら。

 帰りの馬車でそんなことを考えていると、急激に眠くなってきた。
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