キスから始まる恋
「あんた、どういうつもり」

連れてこられた中庭でいきなりえらい剣幕で怒鳴られた

怒鳴ってきたのはヒラメ顔の化粧の濃い女だった

この人化粧落としたら間違いなく『あんただれ?』って顔だろうなぁ

なんて怒鳴られながら冷静に思っていた

「なに、その生意気な顔。それが先輩に対する態度」

淡々と冷たい口調でそういったのはやせすぎで頬のこけた神経質そうな女だった

細ければきれいだと思っている子が多いけど

こんだけやせてると大丈夫かと心配になってしまう

「ふたりとも頭ごなしにそんなふうにいっちゃダメじゃない」

「けど、綾さん…」

綾さんと呼ばれた女はきれいな人だった

色白の肌、切れ長の細い目に長いまつげ

鎖骨のあたりまで伸ばした髪は今時珍しく艶がある黒髪

天使の輪が綺麗にみえて感動してしまった




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