キスから始まる恋
彼の名は、秋元和哉

父が私につけたかった名前の彼は

野球をするために生まれてきたような人だった




初めてあったのは

彼のチームと試合することになった小学五年生のときだった

地元で最強といわれるチーム

そのチームでキャッチャーをしていた彼

彼の采配は小学生の実力をはるかにこえたものだった

もちろんバッティングセンスも

目の前で自分にはない才能を見せつけられ

たとえ男の子に生まれたとしても

あの才能にはかなわないと

そのとき実感した




だから、野球をやめさせられたときも

弟に熱心に野球を教える父を見ても

つらくなかった

私には、あの人のようなプロになれるだけの才能はないと実感したから





でも、やっぱり少し嫉妬した

プロになれなくても

彼と野球をもっとしたかったから





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