12上の御曹司と女子高生は愛を育めない
「理由・・・・・・。どうだろう。
単に我が侭お坊ちゃまに付き合うのに疲れただけだよ」
「三ツ沢さんとあそこにいた理由を聞いても?」
「あのホテルのアフタヌーンティーが女性に有名ってのを知って予約してくれたみたい」
「あぁ、なるほど。なんだ、やっぱり優しいところもあるじゃない」
「確かに全く優しくないわけじゃ無いと思う。
人気のテーマパーク連れてってくれたこともあるし。まぁ仕事目的だったみたいだけど」
横山君は驚いたような顔をした後、口元に手を持っていき考えるような顔つきになった。
こんなことを話しても、もうどうなるわけでも無い。
既に終わったことだから。
「三ツ沢さんはね、御曹司という立場を抜きにして仕事の出来る人だって聞いてる。
数回パーティーで見かけたことがあるけど、社交的で優しそうな雰囲気だったのに、川井さんといた三ツ沢さんは何だか凄く少年っぽくて驚いた。
そういう風にあの人を出来るって凄いことだと思うよ」
フォローしてくれるのだろうか。
しかし私にはあまり響いてこない。
「そりゃ相手が12歳も下なら思わず子供っぽい態度になるのも無理ないよ。
というかあの人は割と子供」
ため息ついて言うと、横山君は笑った。
「そっか、じゃぁこれで終わりにはならないね」
意味がわからず眉間に皺を寄せると再度笑われた。
「ところで僕、社長の息子とかパーティーの話したのに、一切川井さんが突っ込まずにスルーしたのは気遣い?それとも全く興味が無いから?」
残り少ないアイスティーを飲もうとカップを持ったまま固まった。
そうだ、そんな凄い情報知ったはずなのに何故私はそこに食いつかなかったのだろう、片思いの相手だというのに。