12上の御曹司と女子高生は愛を育めない
社長の息子、普通なら凄いって驚くところだ。
あれだけ知識があったのも納得だし、今は光生さんを知っている分色々大変なのだろうと思ってしまう。
「い、いや、驚いて思わずスルーを」
「あはは、三ツ沢さんの事しか頭になかったもんね」
「いや違うの、何というか」
必死にフォローしようにも上手く言葉が出てこない。
どうしよう、好きな人とせっかく外でお茶してたのに何というダメダメな展開。
だけど横山君は優しい顔で笑った。
「僕が社長の息子ってのは知ってる人達は学校にもいるし、今までそれを知って態度変えてきたりする人とかもいてね。
だけど三ツ沢グループ御曹司と気心の知れた女の子には、僕レベルじゃ何にも影響しないってわかったよ」
「ごめんなさい!そんなつもりは」
「嫌みじゃ無いよ?むしろ嬉しいくらいだから。
流石に三ツ沢さんと僕じゃ背負っている物が違いすぎるけれど、少しは参考になる事あるかもしれないから何かあれば言ってね」
流石は横山君というべきか、こんな時まで私にフォローしてくれる。
こういう優しさがあの人にもあれば。
「ありがとう。でももうあの人に会うことは無いと思うから」
「さっきも言ったけど、あの人は凄く出来る人なんだ。
だからきっとこれで終わるなんて思わない方が良いと思うよ」
「横山君、意味がわかりません、というか知りたくないです」
なんだ、また嫌がらせでも起きるのだろうか、当てつけに。
ゾッとしている私に、横山君は笑っている。
「思ったより長くいちゃったね、帰ろう。相談はいつでも乗るから」
ささっと横山君が私のカップも持って席を立つ。
私はお礼を言いながら、優しげな笑みを向けてくれる横山君に微妙な笑みを返してしまった。