12上の御曹司と女子高生は愛を育めない
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既に9月も半ば。
学校の行事に勉強だって忙しい。
普通の高校生、そんな今まで通りの生活をしていた。
妹と弟が見ていたと思われる音楽番組をつけっぱなしにしていたテレビは既に他の番組になっていたようで、勉強を一段落しリビングに行けば知っている名前が聞こえた。
『今回のインタビューは、三ツ沢グループ社長の長男であり次期社長と名高い三ツ沢光生さんです』
綺麗な若い女性アナウンサーが話し、その後録画されたであろう対談が流れ出した。
三ツ沢グループ本社ビルの応接室より、というテロップが画面下にあって、そこには割と簡素な椅子に座り、柔らかい笑みをたたえたスーツ姿の光生さんが映っている。
何となくだが前回会ったときより顔つきが変わっているように見えた。
営業用の顔なのかも知れないがとりあえず痩せこけていないのに安堵し、そんな安堵した自分が腹立たしい。
女性アナウンサーが次々と質問しているが、よどみなく光生さんは答えている。
やはり次期社長についてという質問が出て、今は抱えている案件に向き合うことが私にすべきことですなどとどうやらかわしているようで、気が付けばテレビの前でじっとその様子を見ていた。
『今後のご自身の課題については』
アナウンサーの質問に、初めて、そうですね、と思案するような仕草を光生さんがした。