12上の御曹司と女子高生は愛を育めない
「お土産ありがとうございます。食事にお仕事の話も。楽しかったです」
頭を下げて顔を上げると、シートベルトを外した光生さんがこちらに身体を向けていた。
「俺は紫央里と真剣に交際をしたい」
急に大人の声、大人の男性が私に言葉をかけて、私の心が締め付けられる。
それほど熱いとすら感じるその目に、思わず呼吸を止めてしまっていた。
「歳が一回りも違う事、お前が高校生であること、俺の立場があることでお前の将来を潰すつもりは無い。
結婚など前提にお前は考えなくて良い。
もちろん俺の立場を考えなくて良い。
ただ、まだもしも俺と一緒に居るのが嫌じゃ無いのなら、交際からスタートさせることを考えてはくれないだろうか」
瞬きを忘れるほどに私は目を離せなかったけれど、急に我に返って顔を背けてしまった。
言葉は聞こえた。
言いたいことも理解できている。
おそらく今までとは全く違う告白。
それを聞いて嬉しいと思う自分と、嫌だと思う自分と、怖いと思う自分がいる。