12上の御曹司と女子高生は愛を育めない
「なんで、私なんですか?
以前言っていたように気分転換と便利だからですか?」
睨むように言うと、光生さんは明らかに怯んだような表情になり目をそらす。
ほら、所詮はそうなんだ。
あんなに謝罪した手紙が来たって、本人に目の前で言われればボロも出るだろう。
そう思いながら、きっと違う光生さんを私に向けてくれていると期待してしまっている。
「違う」
絞り出すような声で光生さんは私の方を向いた。
「違う。
手紙にも書いたが、あの日あのような言い方をしたのは、その、まだ自分で高校生相手に本気になっている自分を直視できなかったからだ。
だからあんな馬鹿馬鹿しい言い方になった。
お前が頭の回転が速く観察眼もあることはとても感心しているし、俺も刺激になる。それに偽りは無い。
だが一番は、お前といると楽しい。
不思議とお前に認められるように仕事を頑張ろうと思える。
相手と年が離れているからというだけじゃない、お前だから、紫央里だからこそだって、離れて嫌というほど思い知った。
あの時交際をするなら結婚を前提にと話したのは、高校生相手でも、だからこそ遊び半分で付き合う気は無いと伝えたかっただけなんだ。
交際経験の無いお前からすれば、未来を縛られる付き合いなんて恐ろしくて踏み出すことは無いだろう。そんなことにその時は気づけなかった。
だから俺との交際を考えてくれるのなら、紫央里はお試しの気持ちで良い。
だけど俺は遊びでは無い、真剣な交際なのだとわかって欲しい、それだけだ」