12上の御曹司と女子高生は愛を育めない

「紫央里」


ビクッと身体が揺れてしまった。
ここで何と言えば良いのか言葉が出せず顔をも上げられない。


「俺は色々とお前に信頼してもらえない事をした。
だから時間のかかることは覚悟している。
だが、身勝手だけど期限を作らせて欲しい。
これは俺の我が侭というより、お前を悩ませる期間を延ばさないためでもある」


私は顔を上げ、彼の言葉を考えて、いつまでに、と返す。


「12月23日までに答えが欲しい。
別にこの場で答えてくれても構わないが、出来ればそれまではゆっくり考えて欲しい」


12月23日。それは私の誕生日の前日。
それがわかっていて言ってるんだ。その事が悲しいのかわからないまま唇を噛みしめていた。


「紫央里から何か質問があればいつでも連絡して構わない。それと」


言葉が止まったのでその表情を伺うように見つめる。


「その、紫央里が好むデートというのがわからない。
出来ればどういうのが良いのか教えてくれないか」


至極真面目な顔で言われて驚いたけれど疑問が湧く。


「あの、付き合って無くてもデートになるんですか?」


今度は光生さんが目を丸くして私を見ると、お腹を丸めて笑い出した。
すみませんね、こちらは交際とかゼロなのでそのあたりの知識が乏しいんですよ。
ムッとしていると、悪い、と笑いを堪えながら光生さんが起き上がる。


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