12上の御曹司と女子高生は愛を育めない


放課後、いつも行くファストフード店の端の席に桃と向かい合わせに座って飲み物を飲む。


「で、ため息の理由は例の御曹司?」


桃が未だ切り出さない私に業を煮やしてか話題を振ってきた。
まぁバレるよね、こういう状態じゃ。

私は頷いて、先日久しぶりに会ったこと、そして再度交際を申し込まれた話をした。
始終面白そうな顔で桃が聞いているのは予想通りではあるけれど。


「で、付き合うかどうするか返答に悩んでるって事だよね」


うん、と答えた後、自分のとある疑問を聞いてみることにした。


「あのさ、桃って恋に落ちたな、この人愛してるなってどこで認識するものなの?」


私の疑問に桃の笑顔がフリーズしたあと、今度は難しい顔になった。


「あんまり深く考えたこと無い」

「でも高校でもほぼ彼氏途切れずにいるよね?」

「今まで全て相手が告白してきてるからこっちが好きでってのは無いんだよね」

「相談する相手を間違えた」


思わずがくりと項垂れる。
可愛くてどの男子も彼女にしたいと思うであろう桃は恋愛世界の上位者だろう。
それをド初心者の私では聞いても駄目な気がしてきた。


「そもそも何でそんな質問するの?御曹司のこと好きなんじゃ無いの?」

「いや、どっちかと言えば今まで嫌いというかうざいというか」

「でも今回は交際を考えても良いかなと思うから悩んでるんでしょ?」


桃はポテトフライを摘まみながら聞いてくる。

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