12上の御曹司と女子高生は愛を育めない
第六章 せっかくなので恋人らしく過ごしましょう
クリスマスイブ。
街中を華やかに飾り付けることが許される特別な時期。
昼の賑やかな世界、夜になればイルミネーションで街には多くの人が賑わう。
今までクリスマスイブは私の誕生日兼クリスマスの日となっていた。
この時期のホールケーキはほぼクリスマスケーキが占める。
それも私の下には妹と弟。
ケーキは一つしか買ってもらえないので妹と弟の希望で必ずクリスマスケーキが私の誕生日ケーキだった。
誕生日ケーキイベント、ろうそくの炎を吹き消すというそんな特別も私にはなかった。
下の二人が消したいと騒ぐから私は譲るしかない。
母親が二人の我が侭にごめんねと私に笑っても、長女である私はそれを無理矢理受け止めた。
プレゼントもそうだ。
両親は最初は私に誕生日とクリスマスのプレゼントをくれた。
だが下の二人がずるい!と騒ぐようになって、私はプレゼントを一つだけ貰うことになった。
二人が騒ぐのでラッピングもクリスマス仕様。
少しだけ高い値段のものを選んでくれているのはわかっている。
それでも子供三人に色々するのは親にとって大変なのも理解していた。
長女だから出来るだけ我慢しなきゃならない。
『お姉ちゃんは本当にイイコね』
そうしないと、そうやって笑うあなたたち親が困るでしょう?
私はただ、そうするしか無かっただけなのに。