12上の御曹司と女子高生は愛を育めない
「俺の交際相手と言った以上、何が起きるかわからない。
こちらとしてもすぐに連絡が取れるようにしておきたいんだ」
不穏な発言に目を丸くする。
「待って下さい、ご両親に芝居しただけで私の身に危険が及ぶかのように聞こえるんですが」
私の強い声に光生さんは黙っていたので、私は再度彼の名前を強く呼んだ。
「父親の隣に女がいただろう」
それだけであの女性をどう思っているかがわかる。
そういえば邪魔なヤツが出てきたから、とか言って私を交際相手に仕立てたけれどそれと関係あるのだろうか。
「もしかして邪魔なヤツって」
「そうだ、あの女は父親の正妻だ」
もう一つ思い出した!
そうか、あの女性は光生さんを愛人の子、と言ったんだった。
段々と不味い話になっているのに、光生さんの表情も声も何も変わらない。それが私には怖い。