12上の御曹司と女子高生は愛を育めない

第三章 私はオモチャでもお母さんでもありません


週明けの昼休み、教室でお昼ご飯をいつも通り食べ始めると友人の桃が、


「ねぇ、日曜日に格好いい男性と一緒に居たよね?」


と聞いてきて、思わず食べていたおにぎりを落としかけた。

桃はふわりとした肩までのヘアと長いまつげで男子に人気の美人だ。
一年の時同じクラスになったのだけど、歯に衣着せない発言で女子とつるむのは面倒と思っていたらしいが、不思議と仲良くなって休日に一緒に遊びに行くほど一番仲が良い。気を遣いがちな私には裏表無い性格の桃と過ごすのはとても楽だ。

しかし桃があのテーマパークに家族で行くとは聞いていたが、まさか同じ日でそれも見られていたなんて気付きもしなかった。
そんな私を桃は興味津々な顔で見ている。


「あー、人違いじゃないの?」

「サングラスかけたイケメン、女の子のこと紫央里って呼んでたし、あのよくわからないTシャツを紫央里が着てたの以前見たことあるし」


あまりに逃げられない内容にどうしてこの場を逃げれば良いか思いつかない。
横山君には話してあるし、あまりこの事を広げすぎるのはどうなのだろう。
大抵の問題は一人で解決してきた。
だが今回はあまりに私にとって謎だらけな話。
正直、男子をよくわかっている桃の意見を聞いてみたいという気持ちはある。


「まさか、親友の私に男が出来たこと、秘密にしたりしないよね?」


にっこりと綺麗な笑顔だが怖い。
全て吐け、という圧力に私は負けた。
だが出来るだけ隠せる部分は隠すべきだろう。

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