12上の御曹司と女子高生は愛を育めない


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もうあれからしばらくしても光生さんから一切連絡は無く、私もしなかった。

桃には詳細までは話さずに報告をしたけれど、頑張ったねと言いつつ、だけど少し勿体ないなと笑いながら私の選択を尊重してくれた。



「川井さん」


学校帰り一人で駅に向かおうとしていたら横山君が声をかけてきた。
下校のピークを過ぎたところで周囲に生徒はいない。


「まだ時間あるなら駅前でお茶しない?」


笑顔で言われて私はじっと彼の顔を見る。
以前なら気になっている横山君に誘われたなんてと内心舞い上がっていただろう。
なのにそういう気持ちよりきっと光生さんのことかな、と想像は付く。
私は少しだけならと返事をして駅前のファストフード店に入り、横山君がアイスティーを奢ってくれた。


「何だかこの頃元気ないなって気になってたんだけど、社会の先生に質問に行くことも無くなってるみたいだし、やっぱりあの人?」


なんてよく見られていたのだろう。それとも単に私がわかりやすいのか。
私は苦笑いして頷く。


「もしも話して良いと思うことがあれば話してもらえないかな。
どうして二人があんな事になったのかを」

「あんな事?」

「あの御曹司をどうして川井さんはふったのか」


ゴホッ、とむせた。良かった飲んでいる時では無くて。

しかしまさかそういう事を知られているとは思わず思いきり戸惑った。
桃は横山君と特に親しいわけじゃ無いからそこから情報が行ったとは思えない。
なら何故知っているの?

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