真実の愛は嘘で守って・・・。
【予想外の提案】Side優李
「優李様、お車の準備ができました」
「分かった」
楓に言われ、車に乗り込む。
私と楓の関係は今までどおり、いや、今まで以上に遠くなり、楓は2人きりの時でも、私を「優李」と呼び捨てにすることはなくなった。
あの日、私のひどい我が儘に応え、楓は激しく甘いキスをくれた。
そして、キスだけでなく私の体中にキスマークを残してくれたおかげで、あの日のことは夢でなかったのだと実感できる。
あれ程、熱く互いを求めあった私たちだけど、2人とも愛の言葉を囁くことはなく、キス以上のことは最後までしなかった。
想いを言葉にして最後までしてしまえば、もう戻れない気がして。
きっと、楓もそう感じていたはずだ。
残ったキスマークはもうすぐ全て消えて、あの日のことは完全に記憶の中だけのものとなる。
そして、いつかこの想いも風化して、甘酸っぱい秘密の思い出に・・・。
「できるかな・・・」
「どうかされました?」
「ううん」
せめて、従者として側にいることを選んでくれた楓のためにも、楓が少しでも過ごしやすい嫁ぎ先を選ばないと。
車に揺られて2時間程行ったところに、その有力候補である琉偉の別荘はあった。
「やぁ、優李ちゃん、楓くん久しぶり」
琉偉とは学校で顔を合わせることはあったが、ちゃんと話すのは久々だし、小夜さんとは琉偉の誕生日パーティー以来だ。
「久しぶり、今日は呼んでくれてありがとう」
「こちらこそ、遠い所まで来てくれてありがとう。さぁさぁ、入って」
琉偉に案内され、庭を通り屋敷に入る。
本邸がお城のように立派だったので、どんな別荘なのかと身構えていたが、湖の畔にひっそりと存在するレンガ調の2階建てのお屋敷だった。
「素敵な場所ね」
「気に入ってくれた?僕もここが1番お気に入りの別荘なんだ。
今日は、僕ら4人だけだからなんでもし放題だよ。何して遊ぶ?
カードゲームもボードゲームもいっぱい揃ってるよ!ね、小夜」
「はい、琉偉様」
子どものようにはしゃぐ琉偉を見て、思わず笑ってしまう。
琉偉は他の子息たちとは違い、友愛以上のものを感じさせない。
まだ楓への気持ちを完全に消し去れていない私にとっては、それがちょうどよかった。
でもだからこそ、なぜ私に婚約を申し込んできたのかが分からない。
今日、別荘に来た真の目的は、琉偉の真意を確かめるためだ。
2人きりになった時を狙って、それとなく聞き出せれば・・・。
「分かった」
楓に言われ、車に乗り込む。
私と楓の関係は今までどおり、いや、今まで以上に遠くなり、楓は2人きりの時でも、私を「優李」と呼び捨てにすることはなくなった。
あの日、私のひどい我が儘に応え、楓は激しく甘いキスをくれた。
そして、キスだけでなく私の体中にキスマークを残してくれたおかげで、あの日のことは夢でなかったのだと実感できる。
あれ程、熱く互いを求めあった私たちだけど、2人とも愛の言葉を囁くことはなく、キス以上のことは最後までしなかった。
想いを言葉にして最後までしてしまえば、もう戻れない気がして。
きっと、楓もそう感じていたはずだ。
残ったキスマークはもうすぐ全て消えて、あの日のことは完全に記憶の中だけのものとなる。
そして、いつかこの想いも風化して、甘酸っぱい秘密の思い出に・・・。
「できるかな・・・」
「どうかされました?」
「ううん」
せめて、従者として側にいることを選んでくれた楓のためにも、楓が少しでも過ごしやすい嫁ぎ先を選ばないと。
車に揺られて2時間程行ったところに、その有力候補である琉偉の別荘はあった。
「やぁ、優李ちゃん、楓くん久しぶり」
琉偉とは学校で顔を合わせることはあったが、ちゃんと話すのは久々だし、小夜さんとは琉偉の誕生日パーティー以来だ。
「久しぶり、今日は呼んでくれてありがとう」
「こちらこそ、遠い所まで来てくれてありがとう。さぁさぁ、入って」
琉偉に案内され、庭を通り屋敷に入る。
本邸がお城のように立派だったので、どんな別荘なのかと身構えていたが、湖の畔にひっそりと存在するレンガ調の2階建てのお屋敷だった。
「素敵な場所ね」
「気に入ってくれた?僕もここが1番お気に入りの別荘なんだ。
今日は、僕ら4人だけだからなんでもし放題だよ。何して遊ぶ?
カードゲームもボードゲームもいっぱい揃ってるよ!ね、小夜」
「はい、琉偉様」
子どものようにはしゃぐ琉偉を見て、思わず笑ってしまう。
琉偉は他の子息たちとは違い、友愛以上のものを感じさせない。
まだ楓への気持ちを完全に消し去れていない私にとっては、それがちょうどよかった。
でもだからこそ、なぜ私に婚約を申し込んできたのかが分からない。
今日、別荘に来た真の目的は、琉偉の真意を確かめるためだ。
2人きりになった時を狙って、それとなく聞き出せれば・・・。