真実の愛は嘘で守って・・・。
「あんな態度、嘘発見器とかなくても肯定してるようなもんじゃん・・・」
私の下手くそな嘘のせいで楓を危険にさらしてしまった。
琉偉が告げ口でもしたらどうしよう。
怪しまれて問い詰められたら、また今みたいな態度で、今度こそ楓を失う。
「優李様、大丈夫ですか?」
私の後を追ってきた楓が心配そうに尋ねてくる。
今すぐ大丈夫じゃないって、楓の腕の中に飛び込みたいのを必死に堪えた。
「大丈夫。それより、ごめん。私の態度のせいで何か怪しまれたかも。
でも、心配しないで!絶対、楓のことは私が守るから」
「優李様」
そうだ、私が楓を守らないと。
そのためにも琉偉の真意が知りたい。
最初はふざけてるかと思ったけれど、あの質問の仕方は、私が楓を好きだと確信を持っているようだった。
婚約者候補の身辺調査?
それとも別の何か?
頭を悩ませていると、その張本人がやって来た。
「優李ちゃん、入るね」
そう言って入って来た琉偉に、いつものような笑顔はなく、初めて見る真剣な表情をしていて、まるで別人に見えた。
「さっきはごめん。でも、どうしても確証が欲しかったんだ」
「どういう意味・・・?」
「優李ちゃんの秘密を暴いちゃった代わりに、僕のとっておきの秘密を教えてあげる」
「秘密?」
そう言うと、琉偉は小夜さんを引き寄せ、彼女の口にキスをした。
「えっ・・・」
「琉偉様、んんっ・・・」
恥ずかしがる小夜さんと違い、琉偉は見せつけるかのように深く口付けて彼女を解放した。
「これが僕の秘密。僕が愛してるのはね、小夜なんだ」
突然のことに頭が追い付かない。
だけど、今のキスと、大事そうに小夜さんを抱きしめる琉偉を見て、嘘ではないのだと分かる。
「なんで、私に明かしたの?」
それがどれ程危険なことか私が一番よく分かっている。
「君に僕からの提案を受けてもらいやすくするためだよ」
「提案?」
「僕との結婚」
「!」
「と言っても、普通の結婚じゃない。本当に愛する相手と暮らすための隠れ蓑としての結婚」
「偽装結婚ってこと?」
「そういう言い方もあるかな」
ようやく分かった。
琉偉から友愛以上の感情を感じなかった理由も、それでいて私に婚約を申し込んできた理由も、全てに納得がいった。
「いつから考えてたの?」
「そうだな。僕はずっと、どうせ小夜と結婚できないなら、せめて小夜のことを大切にしてくれる人がいいと思っててね。
夜会で優李ちゃんを見かけた時に、そういえば碧色の令嬢の従者は人間だっていう噂を思い出して、そんな人なら小夜のことも差別しないんじゃないかなって思ったのが最初」
今の私と同じだ。
「じゃあ、私に血をくれたのも、それが理由?」
「まぁ、それもあるけど、血をあげたのは前言ったみたいに、僕も激しい吸血衝動に襲われる気持ちが分かるからの方が大きいかな。
でも、血を我慢してる理由も、僕の血を嫌々吸う理由も全部楓くんのためだって分かって、君たちの関係性に興味が出た」
「もしかして、俺をあの場に誘導したのは琉偉様ですか?」
「正解」
確かにあの日、楓を呼んだ覚えはないのに、あの特別教室に呼ばれたと言ってやって来た。
そのせいで楓に、私が見せつけるために呼び出したのだと誤解されてしまった。
「想像以上の反応だったよ。嫉妬の感情剝き出しって感じで。
もはや、周りにバレるんじゃないかって僕が心配になったくらい」
図星をつかれた楓は、何も言い返せずグッと堪えている。
ふふっと笑い琉偉は話を続けた。
「でも、その反応のおかげで楓くんの優李ちゃんへの気持ちはよく分かった。
だから、次は優李ちゃんの気持ちを確かめるために、僕の誕生日パーティーに誘った」
「まさか、楓と小夜さんのキスはわざと・・・」
「それも正解。必死に平静装ってたけど、最初の表情までは繕えてなかったよ。
あと、急に雷雨になったのも優李ちゃんのせいじゃないかな。さっきのガラス割っちゃったみたいに」
ヘラヘラと話す琉偉にいい加減腹が立ってきた。
「最低!人の気持ちなんだと思ってんの!しかも、好きな人にそんなことさせて平気なの?!」
「平気な訳ないだろ!」
「・・・っ」
怒気を帯びた紅い瞳に睨まれ、何も言い返せなくなる。
「そんなことさせたいはずない。だけど、優李ちゃんなら分かるでしょ?
そうまでして、相手を見極めないといけない必要性が」
確かに分かる。
見誤って明かす相手を間違えれば、傷つけられるのは自分じゃなく、自分の一番大切な人だという恐怖と不安。
それが怖くて、楓にもずっと自分の気持ちを隠してきた。
「それで私の気持ちも確かめて、偽装結婚を思いついたってこと?」
「まぁ、そうだね。一応、さっきので最終確認して完璧に確証が持てたから明かした。
でも、あれだけ分かりやすいと困るよ。絶対バレちゃいけない偽装結婚なんだから。
必要とあらばキスや、もしくはそれ以上のことも僕としてもらうことになるよ」
琉偉と・・・。
正直、全然想像ができないけれど、それは琉偉以外を選んでも一緒だ。
「一生周りを騙し続ける覚悟がないなら、断ってくれても構わない。
中途半端な嘘で小夜を危険にさらしたくないからね。キツイこと言ってごめんね」
「ううん・・・」
琉偉が言ってることはもっともだ。
さっきの罰ゲームだって琉偉じゃなければ、楓がひどい目に遭っていたかもしれない。
「でも、僕は優李ちゃんの一番の理解者で味方だよ。
だから、僕との結婚、一度ゆっくり考えてみて」
「・・・分かった」
「じゃあ、僕は自分の部屋にいるから、何かあったら呼んでね」
「失礼いたします」
そう言って2人は部屋から出て行った。
私の下手くそな嘘のせいで楓を危険にさらしてしまった。
琉偉が告げ口でもしたらどうしよう。
怪しまれて問い詰められたら、また今みたいな態度で、今度こそ楓を失う。
「優李様、大丈夫ですか?」
私の後を追ってきた楓が心配そうに尋ねてくる。
今すぐ大丈夫じゃないって、楓の腕の中に飛び込みたいのを必死に堪えた。
「大丈夫。それより、ごめん。私の態度のせいで何か怪しまれたかも。
でも、心配しないで!絶対、楓のことは私が守るから」
「優李様」
そうだ、私が楓を守らないと。
そのためにも琉偉の真意が知りたい。
最初はふざけてるかと思ったけれど、あの質問の仕方は、私が楓を好きだと確信を持っているようだった。
婚約者候補の身辺調査?
それとも別の何か?
頭を悩ませていると、その張本人がやって来た。
「優李ちゃん、入るね」
そう言って入って来た琉偉に、いつものような笑顔はなく、初めて見る真剣な表情をしていて、まるで別人に見えた。
「さっきはごめん。でも、どうしても確証が欲しかったんだ」
「どういう意味・・・?」
「優李ちゃんの秘密を暴いちゃった代わりに、僕のとっておきの秘密を教えてあげる」
「秘密?」
そう言うと、琉偉は小夜さんを引き寄せ、彼女の口にキスをした。
「えっ・・・」
「琉偉様、んんっ・・・」
恥ずかしがる小夜さんと違い、琉偉は見せつけるかのように深く口付けて彼女を解放した。
「これが僕の秘密。僕が愛してるのはね、小夜なんだ」
突然のことに頭が追い付かない。
だけど、今のキスと、大事そうに小夜さんを抱きしめる琉偉を見て、嘘ではないのだと分かる。
「なんで、私に明かしたの?」
それがどれ程危険なことか私が一番よく分かっている。
「君に僕からの提案を受けてもらいやすくするためだよ」
「提案?」
「僕との結婚」
「!」
「と言っても、普通の結婚じゃない。本当に愛する相手と暮らすための隠れ蓑としての結婚」
「偽装結婚ってこと?」
「そういう言い方もあるかな」
ようやく分かった。
琉偉から友愛以上の感情を感じなかった理由も、それでいて私に婚約を申し込んできた理由も、全てに納得がいった。
「いつから考えてたの?」
「そうだな。僕はずっと、どうせ小夜と結婚できないなら、せめて小夜のことを大切にしてくれる人がいいと思っててね。
夜会で優李ちゃんを見かけた時に、そういえば碧色の令嬢の従者は人間だっていう噂を思い出して、そんな人なら小夜のことも差別しないんじゃないかなって思ったのが最初」
今の私と同じだ。
「じゃあ、私に血をくれたのも、それが理由?」
「まぁ、それもあるけど、血をあげたのは前言ったみたいに、僕も激しい吸血衝動に襲われる気持ちが分かるからの方が大きいかな。
でも、血を我慢してる理由も、僕の血を嫌々吸う理由も全部楓くんのためだって分かって、君たちの関係性に興味が出た」
「もしかして、俺をあの場に誘導したのは琉偉様ですか?」
「正解」
確かにあの日、楓を呼んだ覚えはないのに、あの特別教室に呼ばれたと言ってやって来た。
そのせいで楓に、私が見せつけるために呼び出したのだと誤解されてしまった。
「想像以上の反応だったよ。嫉妬の感情剝き出しって感じで。
もはや、周りにバレるんじゃないかって僕が心配になったくらい」
図星をつかれた楓は、何も言い返せずグッと堪えている。
ふふっと笑い琉偉は話を続けた。
「でも、その反応のおかげで楓くんの優李ちゃんへの気持ちはよく分かった。
だから、次は優李ちゃんの気持ちを確かめるために、僕の誕生日パーティーに誘った」
「まさか、楓と小夜さんのキスはわざと・・・」
「それも正解。必死に平静装ってたけど、最初の表情までは繕えてなかったよ。
あと、急に雷雨になったのも優李ちゃんのせいじゃないかな。さっきのガラス割っちゃったみたいに」
ヘラヘラと話す琉偉にいい加減腹が立ってきた。
「最低!人の気持ちなんだと思ってんの!しかも、好きな人にそんなことさせて平気なの?!」
「平気な訳ないだろ!」
「・・・っ」
怒気を帯びた紅い瞳に睨まれ、何も言い返せなくなる。
「そんなことさせたいはずない。だけど、優李ちゃんなら分かるでしょ?
そうまでして、相手を見極めないといけない必要性が」
確かに分かる。
見誤って明かす相手を間違えれば、傷つけられるのは自分じゃなく、自分の一番大切な人だという恐怖と不安。
それが怖くて、楓にもずっと自分の気持ちを隠してきた。
「それで私の気持ちも確かめて、偽装結婚を思いついたってこと?」
「まぁ、そうだね。一応、さっきので最終確認して完璧に確証が持てたから明かした。
でも、あれだけ分かりやすいと困るよ。絶対バレちゃいけない偽装結婚なんだから。
必要とあらばキスや、もしくはそれ以上のことも僕としてもらうことになるよ」
琉偉と・・・。
正直、全然想像ができないけれど、それは琉偉以外を選んでも一緒だ。
「一生周りを騙し続ける覚悟がないなら、断ってくれても構わない。
中途半端な嘘で小夜を危険にさらしたくないからね。キツイこと言ってごめんね」
「ううん・・・」
琉偉が言ってることはもっともだ。
さっきの罰ゲームだって琉偉じゃなければ、楓がひどい目に遭っていたかもしれない。
「でも、僕は優李ちゃんの一番の理解者で味方だよ。
だから、僕との結婚、一度ゆっくり考えてみて」
「・・・分かった」
「じゃあ、僕は自分の部屋にいるから、何かあったら呼んでね」
「失礼いたします」
そう言って2人は部屋から出て行った。