真実の愛は嘘で守って・・・。
優李は夜早くから起きて、ヘアメイクやらを数人の使用人に施されているようで、俺は優李の準備が終わるのをずっと部屋の外で待っている。

2時間程経って、使用人たちがぞろぞろ出てきたのと交代で部屋に入ると、青いプリンセスラインのドレスに身を包んだ優李が、「どう?」と両手でドレスの裾を軽く持ち上げ尋ねてくる。

いつも下ろしている長いアッシュブロンドの髪は綺麗にまとめられていて、メイクのせいもあるのかいつもより大人びて見えた。

「綺麗だ」と素直に言ってやればいいのに、それが他の男のためだと思うと言葉が出てこなくて、その問いには答えず「用意できたなら早く行こう。旦那様たちも待ってる」と部屋の外へ誘導する。

「ちょっと待って、あっ!」

裾を踏んで転びそうになった優李を間一髪で支える。

「大丈夫かよ、そんなんで」

「だって、楓が感想言ってくれないから」

ちょっとムッとして、睨んでくる。

「俺の感想とかどうでもいいだろ」

「よくない。楓に可愛いって言ってもらえないと不安」

「はぁ?」

「だから言って。ね?」

澄んだ碧い瞳で見つめられれば、俺の無駄な抵抗はあっさりと負ける。

「可愛いよ」

その答えに満足げに笑い「よし、自信ついた!月夜野優李、今夜の夜会で未来の素敵な旦那様ゲットしてみせます!」なんて意気込みを語るから、数秒前の自分の言葉を撤回したくなった。
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