リナリアの花が散る頃に。
新しい出会い
この一週間というもの、ずっとスマホで動画を見ていた。
ネットで友達も少しできた。ネッ友と言うらしい。
ネッ友いわく、私は変わり者らしいがあまり気にしない。
やっとの登校日のため楽しみすぎて、今日は朝五時半に目が覚めてしまい、早めに朝ごはんを食べた。
しばらくは、学校に慣れないだろうと校長先生と会った時にそう告げられる。
まぁ確かに。しかも夏に長袖をきた転入生が馴染めるかと言われるとそう上手くはいかないだろう。
でも、ある程度は先生方がフォローしてくれると言っていたので大丈夫だと思っている。
「もうそろそろ出た方がいいわよー」
「うん、じゃあもう出るね」
玄関に向かい、靴を履いてスクールバッグというものを持ち玄関の扉に手をかける。
「じゃあ、行ってきます」
「行ってらっしゃい、さやか。気をつけてね」
ガチャ。
扉を開けるとそこには、綺麗な青空が広がっていた。
外にでるのは、いつぶりだろうか。
痣などがバレないよう外に出して貰えなかったから、凄く陽の光が眩しい。
「気持ちいっ」
少し生ぬるいが、風に吹かれて気持ちがいい。
道のりは、スマホの地図で確認すれば大丈夫だ。それにしても、まだ地図なんて機能は使い慣れていないため操作がわからない。
「あの、大丈夫?」
スマホとにらめっこしていると、後ろから誰かに声を掛けられた。
「あ、大丈夫じゃないかもしれません」
そういうと、何故か笑っていた。
「ふふっ。君、その制服僕と同じだね。柳高校
?」
「あー、そうです!柳高校!」
声をかけてきたのは、黒い短髪に、綺麗な茶色の瞳を持った少年だった。
「じゃあ、一緒に行こう。案内するよ」
「あ、ありがとうございます」
「敬語じゃなくていいよ」
彼はよく笑うなぁ。彼は凄くモテるだろうなと確信した。
だって優しすぎるもん。