オルガンイズムにあがく鳥
「あ、はい、ええ。目が覚めたようで……はい、わかりました。伝えておきます。はい、了解しました」

考えている最中、男はあの薄い板に向かって話しかけていた。

まさか……電話? あんなに薄っぺらい電話が……?

いや、そんなことがあるとは思えない。

でも、 なにかしらの通信装置であることは確かだろう。

「お待たせしました」

言うと、男は薄っぺらい板を折りたたみ、ポケットへしまい込む。

「ン? ああ、さっきのは携帯電話というものです。外ではあまり馴染みがないようですが……オルガンイズムでは一人一台は持っているものですよ」

紫苑の視線が気になったのか、桜田は丁寧に説明してくれた。

携帯できる電話?

……なぜ電話を携帯するのだろう。

意味がわからない。

まあ、中と外では感覚が違うのだから、気にするのはやめよう。
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