オルガンイズムにあがく鳥
「それで……ここは?」

自分の状況を知るために、質問する。

オルガンイズムの中だろう――という推測はあった。

とすれば、目の前の男はオルガンイズムの人間――

「桂木さん、アナタは、」

だと、したら――

「そうだ! 助けてくれ!!」

「は、はい?」

とっさに、叫んでいた。

ここがオルガンイズムで、目の前の男が『選ばれた者』なら、俺がやるべきことはひとつ。

仲間を……みんなを助けることだ。

「外が今大変なんだ! 大きな戦争が起きている、食料飢饉からの紛争だ! アンタ達ならなんとかできるだろ? な? メシが、食料が要るんだっ!!」

「か、桂木さん……?」

「残飯でも食事カスでも捨てちまうようなものでも、なんだっていい! とにかく食えるもの、食べられるものを分けてくれ!! 頼む!」

必死の訴えだった。

パン切れひとつで人が死ぬ……

逆を言えば、パン切れひとつで人が生き残れるのだ。

二つあれば二人、三つあれば三人……

お願いだ助けてくれお願いだお願いだ助けてくれ助けてお願いだ助けてお願いお願い助けてほしい頼むお願い助けて――食料が要るんだ!

食べるものが、食べられるものが……!!
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