オルガンイズムにあがく鳥
「あの、桂木さん、どうか落ち着いてください。その問題ならすでに解決済みです」

「――え……?」

桜田はゆっくりと息を吸い、吐いた。

柔和な笑みと共に、両肩に手を置いてくる。

「アナタが眠っている一週間のうちに、人道支援団体が扮装地域に赴きましてね。今、食料の配分、および新たな作物生産施設の開設。それから、扮装根絶に尽力しています」

「ほ、本当か……?」

「ええ、もちろん」

「ほ、本当に本当なのか……? 本当に……!?」

あまりの歓喜に、耳を疑った。

「嘘をついてどうするのです? 外の世界もこのオルガンイズムも同じ日本。国内の問題に同じ日本人の我々が、無関心でいるはずがないでしょう?」

そう、だから、彼らは外へ支援団体を派遣してくれて……

だから……

だから……

「――っ、はあ~……」

心の底から出た、安堵の息だった。

よかった。本当によかった。

大河も斎藤も、由紀も神楽も、玄さんもばっちゃんも、チビ三人も……

みんなみんな、これで助かる。

みんな、助かったんだ。
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