オルガンイズムにあがく鳥
『法律』は常に平等であり、善意であり、慈悲でなければならない。

ゆえに『法律』を作るために設けられた〝オルガンイズム〟の中には、『善人』しか住むことが赦されないのだ。

善人と悪人との区別はその家系に由来する。

過去、親や親類に犯罪歴があるものはもちろん、危険思想の持ち主も、この世界からは排除されるのだ。

つまり、紫苑も親か親類が犯罪者だったため、外の世界に住むことを余儀なくされたのだ。

「その通り。そして桂木さん、アナタは無事にその試験に合格しました」

……はい?

「えっと……」

脳みそがついていかなかった。

なにを言っている、このオヤジは?

「ああいえ、過去の記録の中にたった一人、こちらの審査ミスで外の世界にカテゴライズされた人間がいたのですよ」

おい……ミスってお前……

「それが俺、ですか」

「そうです。が、人は環境によっていかようにも変わりますしね。そこで脳波を探り、失礼ながら記憶も探らせてもらったのですが……」

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