オルガンイズムにあがく鳥
脳波を探る――そんな技術まで……。

どこまで格差があるというのだろうか。

外の世界では、いまだに子供が畑を耕しているというのに。

「桂木さん、見事合格ですよ。突然ですが、アナタはこれからオルガンイズムの住人となることを許可されます」

「……唐突ですね」

「ええ、ですから選択権を与えましょう。ただし、最初で最後の選択です。一度中に入れば外へ出ることは絶対に認められませんし、その逆も然り」

なるほど……。

『善人』になるか『悪人』になるか、極論だが、ここで選べと。

紫苑はポケットをまさぐろうとして、腰に手を伸ばした……が、ガウン姿でタバコがあるはずがない。

まったく……。

「だったら、俺は――」
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