オルガンイズムにあがく鳥
道なりに並立している街灯は、あえてアンティーク調にしてあるらしい。

夜になれば、オレンジの明かりが灯るだろう、と勝手に想像した。

ある家のベランダにはプランターが置かれ、明るい花が咲き並んでいたし、向かいの通りには瓦の塀が続いていた。

塀の向こうには竹藪が見える。

街全体は、和洋折衷というか、明治を過ぎたような、ある意味では異世界じみた景色だ。

特に異世界じみているのは、街のいたるところに突き出ている鈍色のパイプだろう。

オルガンイズム――その名の由来となった巨大なパイプオルガンから、街中にはびこっているパイプである。

そもそもオルガンイズムはオーガニズムとのかけ言葉だ。

オーガニズム――それは性的絶頂を意味する。

この街のオルガンは、人を恍惚の渦に巻き取り、絶頂へ導くほど美しい旋律を奏でる……そんな説もあるほどだった。
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