オルガンイズムにあがく鳥
「You」

と、

突然背中に、

細長い棒のようなものを突きつけられた。

直感が、

(拳銃――!?)

出そうとしたいた右足を、硬直させる。

「Freeze」

言葉の意味通り、氷のような女の声が聞こえた。

とりあえず、両手を挙げる。

「……悪いが、金はないぞ?」

拳銃を突きつけられる経験は、なにも初めてではない。

だからといって、慣れるものでもないが。

「いいから。私の言うとおりに動きなさい」

「……目的は?」

「アナタ自身」

「?」

どういうことだ?

まさか素直に答えられるとは思っていなかったので、戸惑う。

目的が俺――つまりこれは、誘拐か。

「ここで俺が抵抗する可能性は考えないのか?」

あくまでも拳銃を突きつけられただけ。打開策ぐらい、いくつかは思い付く。

戦場を生きてきたのだ。生半可なことでは死なない自信がある。

「アナタこそ、こちらが複数である可能性は考えないの?」

なる、ほど。仲間がいる、のか……。

「オーケー……了解」

そして紫苑はおとなしく、女の言葉に従って歩を進めていった。
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