オルガンイズムにあがく鳥
2
†
暗いところだった。
女に言われるままに歩いてきた場所はとあるビルの地下。
光源こそあるものの、これだけ科学技術が発展したこの街で、蛍光灯だけの明かりというのが、逆にアングラぶりを示していた。
もっとも、自分にしてみれば謎の光源よりも、よっぽど馴染み深い光だったが。
「まずは、オルガンイズムにようこそ――と言うべきかしらね?」
ここに来て初めて、紫苑は女の姿を確認した。
黒く長い髪の毛を後ろで束ね、ジーパンにティーシャツだけというラフな格好をした女性。
手に持っているのは、なんの変鉄もない鉄の棒。
自分が拳銃と勘違いした代物だ。
子供騙しな手を……まあ、引っ掛かった俺も俺だが。
「手荒い歓迎どうも」
紫苑はポケットをまさぐる。
あ、タバコはないんだった。
「ほら」
動作か表情かで悟ったのか、女がタバコを投げつけてくる。
受け取って、苦笑。
「この街にも喫煙者がいるとは思わなかったな」
「偏見よ、それ」
断る理由のないタバコをくわえ、女から火をもらう。一息。
暗いところだった。
女に言われるままに歩いてきた場所はとあるビルの地下。
光源こそあるものの、これだけ科学技術が発展したこの街で、蛍光灯だけの明かりというのが、逆にアングラぶりを示していた。
もっとも、自分にしてみれば謎の光源よりも、よっぽど馴染み深い光だったが。
「まずは、オルガンイズムにようこそ――と言うべきかしらね?」
ここに来て初めて、紫苑は女の姿を確認した。
黒く長い髪の毛を後ろで束ね、ジーパンにティーシャツだけというラフな格好をした女性。
手に持っているのは、なんの変鉄もない鉄の棒。
自分が拳銃と勘違いした代物だ。
子供騙しな手を……まあ、引っ掛かった俺も俺だが。
「手荒い歓迎どうも」
紫苑はポケットをまさぐる。
あ、タバコはないんだった。
「ほら」
動作か表情かで悟ったのか、女がタバコを投げつけてくる。
受け取って、苦笑。
「この街にも喫煙者がいるとは思わなかったな」
「偏見よ、それ」
断る理由のないタバコをくわえ、女から火をもらう。一息。