オルガンイズムにあがく鳥
「だったら構わないだろうが」

「だからこそ思うのよ……その二割に入れられた人間はね。世界最高の法律が出来上がれば、世界は平和になる。その代わり、全員が善のベクトルに向かせられる。強制的に、ね」

それは、強力なマインドコントロール。

そこに、個々の自我はない。

偉大なフロイト氏も真っ青な、巨大計画。

よく考えたら恐ろしい……のか?

だがしかし……

「テロリストが哲学を語るんだな?」

それで、世界が救われるのなら、俺は構わないと思う。

自由――その言葉は、決して甘美なものではない。

空を飛ぶ鳥は――自由だよ。

少なくとも、生きることに対してもがく権利を与えられている。

二つの羽を死に物狂いで羽ばたかせて、敵に怯えながら逃げ惑い、狂喜に満ちてえさを掴み取るだけの自由を、与えられている。

「美学を持たないテロリズムは、ただの暴力よ」

それは意義であって、意味は変わらない。

「だからお前は法律を壊す……その手伝いを俺にしろ、と?」

悪いが、それが正しい、とは思わないがね。
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