オルガンイズムにあがく鳥




ぎしりと、椅子の背もたれが泣いた。

「眠い……」

紫苑が与えられた仕事はシステムの構築。

言ってしまえば、机に座ってグリッド線の走る画面を眺めるだけである。

だいたい、なんで雨でもないのに三時間も水を浴び続けなければいけないのだ。

雨が降るだろ。雨で充分だろ。

昨日の紫苑の訴えは、メイドロボには通じなかった。

「まったくあの銀色娘……どこかのネコ型ロボと交換してくれ」

「ネコ型ロボ?」

となりの人に聞かれた。

「いや、あ、なんでもないよ。ただうちのメイドロボがな……あれはもはや欠陥品じゃないかと思えるぐらいでな」

そして思わず、昨日起こった出来事を話す。

紫苑にしてみれば、他愛もない世間話のつもりだったが……

「それは桂木さんが悪いよ。メイドロボは完璧なんだ。彼女がやることに反抗するなんて、君のほうが信じられないよ」

返事は、期待とは違っていた。
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