オルガンイズムにあがく鳥
「はぁ~……ン?」

もう、何度目か数えるのも面倒くさいあくびをしたところで、それは聞こえた。

とても美しい……唄……? が、街中のオルガンパイプから流れていた。

「あぁ。アダムの唄だね」

と、また隣の人。

「アダム? は? 原初の人間?」

まあ、ただの名前なのだろうが、少なくとも日本には似合わない名前だ。

「違う違う。アダムは僕たち善の意識を集めて作られる最高の『法律』の名前さ。噂によるとあとは『善なる瞳』を宿せば完成だとか」

瞳? 法律?

いや、待て……

「アダムって、じゃあ人間だろ? 『法律』って、なんだよ……?」

どういうことだ?

この男、なにを言ってるんだ?

法律が、アダム? 

人間が、法律?
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