オルガンイズムにあがく鳥
3
†
それはある日のことだった。
環境にも徐々に慣れ始め、仕事も軌道に乗った、そんな、気持ち明るい午後のこと。
「――お前は……」
たまの休日、街の散策をしようと歩いていたら、あの時の女が、目の前に現れた。
漆黒の髪を後ろに束ね、ティーシャツにジーパンという相変わらずラフな格好をした女性。
ポケットに親指をひっかけて、タバコをくわえている。
あの時のふてぶてしい態度と、なにひとつ変わらない。
女は首だけで、あさってのほうを差す。
「ついてきなさい。アダムがお呼びよ」
「アダム――だと?」
お前は、そのアダムには反対側にいる人間ではなかったのか?
それなのになぜ、お前の口からアダムの名が出てくる?
なぜ、アダムのところへ導く?
「詳しい話は歩きながらするわ。いいからついてきなさい」
女は自分のペースだけを順守する。
答えも聞かず、てくてくと歩き出した。
「おい、待てよ!」
結局、紫苑は女のあとをついていく。
それはある日のことだった。
環境にも徐々に慣れ始め、仕事も軌道に乗った、そんな、気持ち明るい午後のこと。
「――お前は……」
たまの休日、街の散策をしようと歩いていたら、あの時の女が、目の前に現れた。
漆黒の髪を後ろに束ね、ティーシャツにジーパンという相変わらずラフな格好をした女性。
ポケットに親指をひっかけて、タバコをくわえている。
あの時のふてぶてしい態度と、なにひとつ変わらない。
女は首だけで、あさってのほうを差す。
「ついてきなさい。アダムがお呼びよ」
「アダム――だと?」
お前は、そのアダムには反対側にいる人間ではなかったのか?
それなのになぜ、お前の口からアダムの名が出てくる?
なぜ、アダムのところへ導く?
「詳しい話は歩きながらするわ。いいからついてきなさい」
女は自分のペースだけを順守する。
答えも聞かず、てくてくと歩き出した。
「おい、待てよ!」
結局、紫苑は女のあとをついていく。