オルガンイズムにあがく鳥
「ついたわ、ここよ」

喋りながら歩くこと、十分そこら。

エヴァと紫苑が辿り着いたのは、巨大な建築物だった。

荘厳な装飾が全面に施され、古代ギリシャ風のギザギザした柱が並立している。

これだけの荘厳な建物だというのに、屋根の上に十字架が立っていないのは、逆に違和感を覚えた。

「通称『教会』……アダムの住居。ただし、キリストの神を崇めるわけではないから、十字架はないしね……まあそもそも、なぜ救世主を抹殺した道具を崇めることになったのか、理解に苦しむわね」

十字架は本来処刑の道具である。

キリストを殺した、忌まわしき道具……

それがなぜ、崇拝対象になったのか……。

「お前の意見なんか知らねえよ」

「ふ、それもそうね。価値観の差だわ」

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