オルガンイズムにあがく鳥
言うと、エヴァは教会の正面階段を上る。

ひたすらでかい正面扉ではなく、その横にある作業員入り口のような小さな扉に、カードを通す。

人差し指を、一緒に押し当てた。

さらには、ドアノブの横につけているカメラに向けて、右目を近づける。

そして、マイクに向かって一言。

「我、神を崇める」

カードキー、指紋認証、網膜測定に、声紋認識ですか……。

さすが、世界最高を目指す『法律』の住居だ……セキュリティも世界最高というわけですか。

「まあ、絶対なんて言葉はないだろうが」

「ないよりマシよ。さ、いくわよ」

連れられて、紫苑は『教会』の中に入る。

中は、外より一層、荘厳というに相応しい光景だった。

オルガンの音が響き渡り、ソファーや椅子が並ぶ。

まさに教会の礼拝堂、そのものだ。

極彩色のステンドグラスの祭壇。その横には、高いパイプを連ねるオルガン。

パイプオルガンからは、大量のパイプがコードのように溢れていた。

それは、街のあらゆるところへ繋がっている。

オルガンイズムの名の由来になった、巨大なパイプオルガンだった。
< 45 / 98 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop