オルガンイズムにあがく鳥
「それと同時に、日本では忌み嫌われる色のひとつだがな」

ここまで同じ言葉で真逆の意味を持つ言葉も珍しい。

名付け親は知らない……が、俺のこの紫苑という名……果たして、どちらの意味で名付けられたものなのか――考えるだけ無駄だな。

「それでも、君の名前だよ」

アダムが言い、

「ただの識別コードだろ」

紫苑が答えた。

名前なんぞ、個人を特定するだけのコードでしかない。

個人を特定する必要がなければ、名前なんて一切使われない。

それこそ、アダムもエヴァもオルガンイズムという名前すら……『区別』がなければ……。

「おもしろいなぁ、おもしろい、おもしろいよ。こんなに博識な人間が外にいるなんて、僕は知らなかった」

アダムが朗らかに笑う。

邪気のない笑顔だが、どこか、人を見下したよう。

まるで、サルを相手にしているような。
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