オルガンイズムにあがく鳥




それから、しばらくの日々が経った。

「たまには、二人で話すというのも悪くないよね」

アダムは理由を見つけて、紫苑を呼び出していた。

「俺は女がいたほうが、まだ気がまぎれるよ」

あんなヤツでも、いないよりはマシだ。コイツと二人きりだと、気が狂いそうだから。

「あ、エヴァのこと好きなんだ?」

……まさか。

「冗談」

「ふぅん、じゃあそういうことにしておくよ。君にはもっと相応しい女性がいるし。数えればデータ上、この街には君と相性のいい人が四人はいるからね」

あ、そうっすか……。アナタはそういうところまで見通せるわけですね。

めんどくさいので、さっさと用件を済ませたい。『教会』の空気も、あまり吸っていたくない。

「それで、俺を呼び出した理由は?」

「うん、あのね、外の世界について聞かせてほしいんだ」

……またか……。

「それなら先週も話したと思うが?」

「あのときはエヴァがいたよ。今度は邪魔がいない。これは大きな違いだよ」
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