オルガンイズムにあがく鳥
「だけど、すばらしいね」

アダムの感想。

「どこがだ? 結局のところ、一人を殺して一人を生かすだけに過ぎないんだぜ。二人生き残れるほうがいいに決まっているのに」


もしあの時、パンが一切れではなく、人数分きちんと揃っていたら……

全員生き残っていたはずなんだ。

「なら――なぜそうしなかったのさ?」

「なぜ、って?」

また、アダムが核心を突いた。

「単純明快な理論だよ。確かにパンは十人分なかった。それなら、パンをやるのは一番若い者じゃなく、最も力ある者だ」

……コイツ……

「力ある者にパンを与えて、その人に仕事をしてもらうのがいい。一切れのパンを十倍にする方法なんて、いくらでもあるよ。君は、その一切れのパンでなにができた?」

「……」

答えられなかった。

そう、あのパンをもらった俺は――
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